症例02

疾患名・解説
症 例
60歳代・男性 湿性咳嗽、軽度の息切れ

Step2

診断名を見て、再度画像診断を検討してください

診断:喫煙による慢性気管支炎と小葉中心性肺気腫
(Chronic bronchitis, Centrilobular emphysema)

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Step3

CT所見、用語(解剖)解説と病変所見のあるキー画像

キー画像の右側の“>”をクリックすると画像上の重要所見に矢印マークが現れ、さらに“>”をクリックすると所見のコメントが現れます。Thin-slice画像や白黒反転での読影にも挑戦してください。


画像所見の解説

CT所見

気管支:両側性びまん性に軽度の壁肥厚と内腔狭窄が見られる。粘液栓はほとんど見られない。
肺野:肺気腫あり。上肺野に優位な小葉中心性の肺気腫と傍隔壁性の肺気腫が見られる。右下肺背側外套部に軽度の網目状、すりガラス影(通常型間質性肺炎UIP)を認める。

キー画像1

キー画像2


画像診断に再チャレンジ。

1mm thin-sliceで観察してみよう。

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白黒反転で観察してみよう。

...
ポイント

1mmスライス、白黒反転画像では、小葉中心性肺気腫と気管支壁肥厚の判定は容易である。


解剖解説

気管支と肺動脈は伴走し、区域から亜区域そして小葉に至るまでその中心に位置する。肺静脈はこれらの境界に位置し、二次小葉の間を走行する。二次小葉は小葉間隔壁に囲まれた約1cm角の多面体で中央部に終末気管支が数個集まっている。
すなわち小円形の低吸収域の中央に細動脈-細気管支束を認めれば、それは小葉中心性の肺気腫と診断できる。

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Step4

疾病の解説と所見のまとめを見た後、再度画像診断を検討してください

病名の解説

喫煙による慢性気管支炎と小葉中心性肺気腫

喫煙に関連する肺病変は、慢性気管支炎、小葉中心性肺気腫、汎小葉性肺気腫、呼吸細気管支炎関連間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、肺ランゲルハンス細胞組織球症、肺癌が挙がる。この中で慢性気管支炎と小葉中心性肺気腫は喫煙関連の肺病変としてもっとも頻繁に遭遇する。
慢性気管支炎に関しては喫煙がもっとも多い原因で、大気汚染物質、塵、toxic-gasなども原因となる。
症状は咳、喀痰、疲労、息切れ、胸部不快感。
肺気腫は、小葉中心性、汎小葉性、傍隔壁型に分類されるが、小葉中心性肺気腫は喫煙と強く関連する。


所見のまとめ その1.慢性気管支炎 chronic bronchitis

CTではびまん性の壁肥厚が主体。粘液栓はごくわずかのことが多いが、多数見られることも少なくない。

所見のまとめ その2.小葉中心性肺気腫 centrilobular emphysema

CTでは二次小葉の中央で群発多発する数mm大の小さな円形の低吸収域像で、上肺野に優位。低吸収域の中央部に末梢の細動脈-気管支束が見られるのが特徴的で、低吸収域は肺胞に取り囲まれているので壁がない。

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