症例04
疾患名・解説
Step3
その後解説を見て、再度画像診断を検討して下さい
診断:非特異的間質性肺炎;Group1
(Idiopathic Nonspecific
Interstitial Pneumonia(i-NSIP);Group1(cellular predominant))
画像所見の解説
胸部X線写真
両側下肺野でやや血管影が不鮮明化しているように見えるが、ほぼ正常。
CT像
両側下肺野末梢優位にほぼ均一なすりガラス影を認める。
牽引性気管支拡張や蜂巣肺は伴っていない。
容積減少なし。
下肺野優位で均一なすりガラス影が見られることから、DIPやcellular NSIPが鑑別に上がる。
本症の解説
病理組織像
左肺S9より胸腔鏡下肺生検が施行され、cellular NSIPに合致する所見が得られた。
全般
NSIPはKatzensteinにより提唱された疾患概念であり(1)、UIPに次いで特発性間質性肺炎(IIP)では2番目の頻度を示す。
病理組織学的には時相の均一な線維化ないし胞隔炎を特徴とし、
純粋に胞隔炎からなるGroup1;cellular、
胞隔炎と線維化が混在するGroup2;cellular-fibrosing、
純粋に線維化からなるGroup3;fibrosing
の3型に分けられる。
ATS-ERS2002年のコンセンサス分類では、”provisional”として単位疾患とするのは留保されたが(2)、後の検討で特発性間質性肺炎の1型と認知された(3)。
画像所見は
Group1では均一なすりガラス影、
Group2では均一なすりガラス影にconsolidationが混在、
Group3では均一な網状影が特徴で、下肺野優位で比較的気管支に沿って扇型に広がることが多く、
Group1、2、3と線維化が増えるにつれ牽引性気管支拡張がより広汎で低次の気管支に及ぶことが特徴である(4)。
Katzensteinの原著では亜急性~慢性の疾患とされていたが、前述のコンセンサス分類の2013年改訂版(5)では、NSIPはchronic fibrosing
(慢性線維化性)IIPに位置づけられ、Group1cellularと亜急性の経過を示すことが多いGroup2の位置付けが現在問題となっている。
参考文献:文献へのリンク付
1.Katzenstein AL et al.
Am J
Surg Pathol 1994;18: 136-147
2.ATS/ERS.
Am J Respir Crit Care Med. 2002; 165: 277-304
3.Travis W, et al.
Am J Respir Crit Care Med. 2007; 176: 691-697
4.Johkoh Tet al. Radiology
2002; 225: 199-204
5.Travis
W,
et al. Am J Respir Crit Care Med. 2013; 188: 733-748
2015-04-01
本症例は「症例画像データベース」に登録されました。