症例09

疾患名・解説
症 例
70歳代・女性 咳

Step3

その後解説を見て、再度画像診断を検討して下さい

診断:特発性リンパ球性間質性肺炎
(Idiopathic Lymphoid Interstitial Pneumonia(i-LIP))


画像所見の解説

胸部X線写真

全肺広汎に血管影が不鮮明化している。

CT像

中葉、舌区、両側下葉に離散的かつ球状、楕円球状にすりガラス影が広がり、のう胞性変化も散見される。蜂巣肺や牽引性気管支拡張等構造改変の所見は無い。


本症の解説

病理組織像

診断確定のため、右S4、8より胸腔鏡下肺生検が施行されLIPに合致する所見が得られた。

...

全般

LIPは、従来リンパ球の浸潤が広義間質主体のものも含まれていたが、ATS-ERS2002年のコンセンサス分類では間質性肺炎の定義に則して、リンパ球が高度に肺胞隔壁へ浸潤した病態と定められた(1)。
2013年の改訂においても準じられている(2)。
そこで、残りの広義間質主体のものは、diffuse lymphoid hyperplasia(DLH)、結節を示すものはnodular lymphoid hyperplasiaとして除外するのが現在では適当である。
LIPの画像診断の仕事は全て2002年のコンセンサス分類以前のものであり、LIPのまれな頻度からみて、ほぼDLHについての仕事とした方が妥当である(3)。
再度、新しい定義に則して診断した9例の検討からは、CT所見は下肺野優位で、すりガラス影主体時に、honeycombingやcystを示すのが多く、cystを除きcellular NSIPに類似していた(4)。
本例の様に円形、楕円形のすりガラス影を示すこともあり、腫瘍性の性格を反映しているかもしれない?
尚今回の改訂コンセンサス分類ではLIPは稀な特発性間質性肺炎群に分類されている。